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SOCIAL SECURITY TRANSITION

会社員から個人事業主へ
社会保障の変動リスク

会社員(第2号被保険者)から個人事業主(第1号被保険者)への転身は、働き方の自由を得る一方で、社会保障制度が「手厚いパッケージ」から「最小限のベース」へと移行することを意味します。本ダッシュボードでは、その金銭的負担の変化と、見落としがちな補償の劣化リスクを視覚的に解説します。

1. 制度の全体比較シミュレーター

現在の「会社員」と、独立後の「個人事業主」で、社会保障の各項目がどのように変化するかを比較します。上のボタンを切り替えて、リスクの違いを確認してください。

💰

保険料の負担

会社と折半 (実質50%)

会社が半分負担するため、給与天引きで済んでいました。

👨‍👩‍👧‍👦

家族の扶養

保険料は無料

専業主婦(夫)や子供の分の健康保険料はかかりません。

🏥

病気休業補償

傷病手当金 (給与の約2/3)

病気で長期間休んでも、最長1年6ヶ月の所得保障があります。

👶

出産補償

出産手当金あり

出産のための休業期間中も一定の補償が受けられます。

👴

将来の年金

2階建て (手厚い)

基礎年金に加えて、報酬に比例した厚生年金が上乗せされます。

🛡️

障害・遺族補償

厚生年金による加算あり

軽度の障害(3級など)でも給付があり、遺族への補償も厚いです。

⚠️

2. 最大のリスク:所得補償の「完全消滅」

国民健康保険(国保)への移行において、医療費の3割負担は変わりません。しかし、最も危険なのは「働けなくなった時の所得保障」がゼロになることです。会社員時代に守られていたセーフティネットが完全に外れる状態を理解する必要があります。

病気やケガで休業した場合の月収推移イメージ

会社員の場合 (傷病手当金) 約66%
個人事業主の場合 (国保) 0% (収入ゼロ)

※休業期間中も国保の保険料支払いは継続します。

国保移行による金銭的負担増の理由

  • 1
    全額自己負担 会社との折半がなくなるため、同じ所得でも実質的な支払額は倍増に近い感覚に。
  • 2
    扶養制度の消失 家族がいる場合、会社員なら無料だった家族分も、国保では「均等割」として人数分加算。
  • 3
    出産手当金の欠如 出産による休業期間の補償も原則として存在しません。

3. 年金の格差:消滅する「2階部分」

日本の年金は「2階建て」ですが、個人事業主になると報酬比例の厚生年金(2階部分)がなくなり、受給額が大幅に低下します。以下のグラフでその格差を確認してください。

会社員 (月収30万・40年勤務)

約 150,000 円/月

基礎年金 + 厚生年金

個人事業主 (40年満額納付)

約 68,000 円/月

基礎年金のみ (2024年度価格)

📉 受給額の格差

月に約9万円の差

さらに、障害等級3級の保障や手厚い遺族年金などの機能も弱体化します。

ACTION PLAN

4. 負担増と劣化リスクへの対策

個人事業主は、失われた「手厚いパッケージ」を自らの手で再構築(自衛)する必要があります。以下のカードにカーソルを合わせる(タップする)と、具体的な対策制度の詳細が表示されます。

🔄

健康保険の任意継続

退職直後の負担軽減策

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任意継続のメリット

退職後2年間は、元の会社の健康保険に継続加入できます。

特に扶養家族が多い場合、人数分加算される国保よりも保険料が大幅に安くなるケースが多いです。退職時に比較計算が必須です。

📈

iDeCo (個人型確定拠出年金)

消えた「2階部分」を自作

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iDeCoのメリット

月最大6.8万円まで掛金を拠出可能。最大の魅力は掛金が全額所得控除になること。

節税しながら将来の年金資産を投資信託などで運用し、自分自身の「年金の2階部分」を作ることができます。

🏢

小規模企業共済

個人事業主の「退職金」

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共済のメリット

国の機関が運営する、経営者のための退職金制度です。

掛金は月1,000円〜7万円。これも全額所得控除の対象となり、高い節税効果を得ながら、廃業時や引退時の資金を準備できます。

☂️

所得補償保険

傷病手当金ゼロへの備え

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民間保険の活用

国保には「傷病手当金」がありません。

病気やケガで働けなくなった期間の収入減をカバーするため、民間の「就業不能保険」や「所得補償保険」への加入検討が強く推奨されます。

🏛️

国民年金基金 / 付加年金

公的な終身年金の上乗せ

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公的制度の活用

付加年金: 月額400円を上乗せ納付するだけで、将来の年金が確実にお得に増える制度です。
国民年金基金: 自営業者のために創設された公的な年金制度で、終身年金を確定額で増やせます(iDeCoと合算で上限枠あり)。

結論まとめ

単に「手取り額」だけで比較してはいけません。「家族の保険料負担増」と「将来の年金・休業時の補償額の消失」を含めると、実質的な生涯コスト・リスクは数百万円〜数千万円単位で増大します。独立時は売上目標の策定と同時に、上記対策を用いた社会保障の再構築設計が不可欠です。

Reference

関連する政策動向

背景には、個人事業主による健康保険組合加入の制限強化に関する厚生労働省の通知があります。制度変更の原文確認用として公式ページを参照できるようにしています。

厚労省の通知を見る